映画で旅する世界遺産 第7回 中国 麗江古城2020年07月14日

映画のタイトルは「単騎、千里を走る」     (ネタバレです)

題名は『三国志演義』の関羽が一時仕えていた曹操のもとを出奔して旧主劉備にもとへ帰った故事小説『千里走単騎』からだそうで、映画では中国最古の仮面劇と言われている「儺戯(ノウシイ)」で演じられています。

監督は中国映画の巨匠、北京オリンピック開幕式の総指揮である張芸謀(チャン・イーモウ)日本部分の監督を降旗康男、そして主演が・・・はい、高倉健さんです(^^)/
高倉健は、映画のタイトルの如く、単身撮影に参加。約2ヶ月間に渡る撮影をこなしたそうですが、お相手となる中国人キャストは、張芸謀監督独特のキャスティング(ほぼ全てのキャストは地元の人々から選ばれた“素人”)によって決まっています。でもいわれなけらばわからない・・・

高倉健主演の「君よ憤怒の河を渡れ」は中国で累計8億人の観客を動員して空前の大ヒットとなったと聞いたことがあります。亡くなった時も中国側からの追悼が凄かったですよね。

 ↓ 北国で漁師をしている高田(高倉健)には、東京で民俗学を研究している息子・健一(中井貴一)が居ます。しかし、長年の確執があり疎遠になっていました。健一の妻・理恵(寺島しのぶ)から健一が病で倒れたと聞き、見舞いに行きます。

 ↑ しかし、見舞った高田に対して健一は会おうとしませんでした。
息子の命がもう長くないことを知り、やり切れぬ想いを抱く高田に理恵は、高田の心情を汲み、研究家としての健一の仕事ぶりを紹介したテレビ番組のビデオテープを渡します。 

 ↑ ビデオには、健一が中国の奥地・李村の民俗舞踊を紹介する様子が映し出されていました。そして健一が舞踊家・李加民(リー・ジャーミン)に語りかけるシーンが目が留まります。「来年、李さんの"千里走単騎"を撮りに来ます。」・・・
病の身となっては、果たされぬ約束です。高田は、いま自分に出来ること、それは、息子健一の約束を自分が代わりに果たすことだと考えます.。高田は、理恵にも内緒で独り、中国に行くことを決意します。
 ↓ 数日後、高田は単身、昆明空港から、ミャンマーの国境近くの中国・麗江市にやってきます。高田の手がかりは、李村に住む李加民という名前のみ。

 ↑ 屋根瓦が美しい そして背後の玉龍雪山は山国家重点風景名勝区。
ロープウェイやリフト、野外劇場なども整備されています。氷河公園までのロープウェイは、下部駅の標高3356mから氷河公園駅の標高 4,506mまで、標高差 1,150m、全長 2,968mのロープウェイが通じていて、ロープウェイで到達できる標高としては、ベネズエラに位置するメリダ山脈のロープウェイの 4,765mに次いで、世界2番目の高標高地点だそうです。おお~!
ミャンマーとの国境にあたる、中国雲南省・麗江は、古くから雲南とチベットを結ぶ交易路の拠点として栄え、旧市街地は“麗江古城”とも呼ばれ、芸術的な素朴さに満ち溢れた町並みは、世界文化遺産に登録されています。旧市街の建築物はほとんどは1~3階建ての木造瓦葺きであり、4000戸ほどの住居が密集しています。 

仏教や道教の仏像もあり、少数民族によって書かれた麗江壁画が残っていますが、この麗江の最大の特徴は、8世紀、現在の青海省付近から南下してきたと言われている少数民族ナシ族の「トンパ文字」かと思います。映画では残念ながら紹介されませんでした。。。

トンパ文字は現在、世界で唯一の「生きた象形文字」とされ2003年、ユネスコの世界記録遺産に登録されました。

ネット上で日本語 → トンパ文字変換サイトがありまして(^^♪

 自分の名前を変換した結果がコレ ↓ いかがですか?カワイイでしょ

 

 ↓ 通訳ガイドを雇います。そりゃ~そうでしょうね。

 ↓ ようやく村での撮影にこぎつけたのですが、李加民がいません!
 彼は事件を起こして刑務所に服役中だったのです。
 ↓ しかし高田は諦めません!中国の刑務所に面会と撮影許可を求めます。
 ↑ なかなか難しい!当たり前か・・・  ↓ それでも諦めません・・・
 ガイドの通訳能力が低いので、自らビデオに収まり、必死に訴えるのです!
 ↓ ついに責任者の心を動かします!
 ↑ これが中国の刑務所だ~!やってきました。
 ↓ ところが、李加民は泣き崩れてどうしても演技ができない・・・理由は残してきた子供に会いたいって・・・・ヲイヲイ。
 ↓ 諦めない親父 高田は今度は李加民の子供を連れにさらに奥地へと車を走らせます!
まるで、日光のいろは坂ではありませんか~!(^^)!
 ↑ やってきたのは「石鼓鎮」。
 ↓ 村では長老達が会議をします。そして加民の子供、楊楊(ヤンヤン)を連れ出していいよと許可をもらえるのです。
 ↓ そして日本からの客人に村人総出のこの歓待ぶり!いいシーンです。
 ↓ 子供と一緒に村を出発します。ここは「元謀土林」まるで、アメリカの世界遺産グランドキャニオンのよう。
こんなところで車のエンジントラブルが。そして事件は起こります。ヤンヤンが居なくなったのです。村からは捜索隊が。高田は残って捜索。ようやくヤンヤンを見つけました。 
 ↑ また立ち去ろうとするヤンヤン、慌てて追いかけると・・・実は💩でした・・・
 ↓ この映画で一番好きなシーンかも。。😁
多分、高田はヤンヤンと自分の息子、健一の幼い頃とを重ねています。。。
 ↑ 居なくなった理由。逃げ出した理由は、ヤンヤンにはまだ父親と会う心の準備ができていないのでした。そのことを知った高田は連れていくことを諦めます。
ヤンヤンと別れて去っていくシーンです。。。ありがちな映像ですが涙なしには見られません。
 ↓ 戻りの道中、理恵から健一が亡くなったことを知らされます。
そして健一は理恵から、父親が自分のために、自分の代わりに中国に行っていることを知らされて、死ぬ間際に手紙を書いていました。理恵はその内容を電話で伝えます。。。
背中で男の悲哀を表現できる役者・・・高倉健さん
 ↓ 再び刑務所に戻った高田は、撮影はもう結構です。その代わりに加民の子供の写真を見せたいと申し出ます。
 ↓ 💩 してるシーンも見せます・・・('ω')
感動した加民は、撮影を固辞する高田にそれでも、お礼にそして健一さんのためにも演武を見ていってほしいと言って踊るのでした。


私、専門学校の教員時代、「世界遺産」の授業でたまにこういった映画を学生たちに見せました。
一番人気が前回の「ジュリエットからの手紙」で、この「単騎、千里を走る」はあまり人気なかったんです~。まあ学生は20代の女性がほとんどで主演、高倉健とかいわれてもっ・・・てところはあるかもですが。
この映画、高倉健の晩年の作品として、そして中国の奥地の少数民族の美しい村と風景が個人的には大好きな作品ではあります。

麗江古城は世界遺産登録されてから観光客が激増、かなり様変わりしているといううわさも・・・

映画で旅する世界遺産 第6回 イタリア トスカーナ地方2020年07月12日

私、ヨーロッパのお国の中ではスペインとイタリアが好きなんです。世界遺産の国別登録件数も1位がイタリアで55件(同じく中国が55件)3位がスペインで48件とトップクラスの両国です。特にイタリアは初めて行ったのが40年ほど昔、その旅行中にパスポートを盗難に遭うという悲劇(いや喜劇か)的事件がありまして、再発行されるまで長期滞在を余儀なくされました。それでイタリア各地をぶらぶら。。。(^^)/

(ほんとは日本領事館のあるミラノに滞在してなさい!と警察で言われたんですけどね。。。)それ以来、大好きなお国となりました。(いやほんとですよ~)

首都、ローマやヴェネチアも良いですが、トスカーナ地方(フィレンツェやピサもこの地域)がいいですね。映画の舞台はこのトスカーナ地方の世界遺産ヴェローナとシエナです。

映画のタイトルは「ジュリエットからの手紙」です。 (はい、例によってネタバレとなります)

ヴェローナには、英国の作家シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」の舞台となったジュリエットの家があります。日本では「ロミオとジュリエット」として知られていますが、ジュリエット(Juliet)は英語で、イタリアではジュリエッタ(Giulietta)です。

イタリア語アルファベットにはJ5文字がないそうで、このあたり荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」でイタリアを舞台とした第5部では「ジョジョ」「JOJO」が「GIOGIO」と表記されていました。。


 ↓ ヒロイン、ソフィはニューヨークの雑誌記者、今一ついい記事が書けないわーと悩んでいます。
 ↑ 編集長の評価も思わしくありません。。。

 ↑ 彼氏は気鋭のイタリアンシェフ、仕事熱心で新作パスタの研究に余念がありません。
二人で、本場イタリアのヴェローナに仕事を兼ねて旅行することに。

 ↑ ヴェローナの街中にはシンボルとなっている円形闘技場の他、多くの歴史的建造物があり、中世の街並みが残っていて、町全体が世界遺産として登録されています。アディジェ川沿いにあり、町並みと水の流れが調和した美しい場所です。
 ↑ 彼氏がホテルの窓からソフィアに「ロミオとジュリエット」の名場面をおどけて見せます。
・・・どうしてって言われても・・・それは親が名付けたからなんだよ~💦 

 ↑ヴェローナ市街地の中心部に位置する円形闘技場「アレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di verona)」、このアリーナは有名なローマのコロッセオと違って当時の姿がほぼ完全な形で残されていることから、歴史的価値が高いです。
街を散歩するソフィの前に観光スポット、ジュリエットの家が。ジュリエットの家の前庭にあるジュリエットの銅像こそ「恋のパワースポット」。恋の願いを叶える方法はちょっと恥ずかしいのですが、ジュリエットの胸に触るというもの💛
バルコニーは観光客のリクエストにより後付けだとか・・・。ロミオの家というのもあるそうですが。そっちはあまり人気がない。。

 ↓ ジュリエットの家の壁に世界中から恋の悩みを抱えた女性が、その悩みを書いた手紙を壁に貼り付けていくのです。
 ↑ それを片っ端から外していく女性が・・・
 ↓ 気になってその女性の後をつけるソフィ
 ↑ 理由を聞くと何とその人たちはボランティアでジュリエットの秘書だと!
そして悩める女性たち全員にお返事を書くのだと! その為の担当も決まっているのだと!

この部分、映画の作り話でなく本当なんです。いや驚きました~

対応言語はイタリア語に限らず、英語やドイツ語、そして日本語もOKだということで、世界各国から寄せられる恋の悩みに対応しています。

恋に悩んでいる方は、ジュリエットの秘書に相談してみてはいかがでしょうか?

そして何と現地まで行かなくても、ホームページでもしくは郵送で受け付けています~(^^)/

宛先:

Club di Giulietta

via Galileo Galilei, 3 – 37133 Verona, Italy

http://www.julietclub.com/en/contact-us.html


 ↑ ボランティアに興味を持ったソフィは、壁の奥から50年前の古い恋の相談レターを見つけます。そして差出人の英国人クレア・スミスに返事を書くことになったのです!

 ↓ すると英国からクレア・スミス本人が、お孫さんとやってきたではありませんか!
 当時、絵の勉強のためシエナにいて恋をした昔の恋人に会うために・・・
 これは記事になる感動のストーリーだとソフィはクレアの昔の恋人探しに協力を申し出ます。
 そして3人でかつての恋人ロレンツォを探す旅に出るのです。
(ソフィの彼氏はビジネスで忙しく別行動となりました・・・)
 ↑ こんな風景をドライブ ええなあ~
 ↓ でもなかなか見つかりません。同姓同名のロレンツォが次々出てくるのですが、そのキャラクターが皆、なかなかに笑えます('ω')
  ↑ 
世界遺産 シエナ歴史地区は、13世紀、トスカーナ地方の覇権を手中に収め、隣国のフィレンツェを凌ぐほど繁栄を極めた都市国家となりました。世界一美しいといわれるカンポ広場を中心に広がる町並みは、なだらかな緑の丘陵に調和して、時間がまるで静止したかのようです。
旅する中でソフィとクレアの孫息子チャーリーとの関係にも変化が💛

↓ 広場でジェラートなど食べながら、ふざけるシーンはあの名作「ローマの休日」に見られる恋人モードの定番シーンか!

 ↓ そしてあきらめかけた時、ついにその人は現れます!
しかし、馬に乗っての登場って・・・どうよ('ω')

 ↑ 二人は当時のことを思い出し・・・その後、何とめでたく結婚することに💛
 ↓ 彼氏とニューヨークに戻ったソフィの記事を読んだ編集長はこの恋物語を大絶賛!
 多くの女性がヴェローナに殺到するであろうから、アリタリア航空の株を買っておけ(^^)/

 ↓ ニューヨークにいるソフィにも結婚式の招待状が届いて、彼氏と別れたソフィはイタリアでの結婚式に一人出席することに。そしてチャーリーと再会します。
 
 ↓ 披露宴で初めてソフィが書いた、ジュリエットの秘書としての手紙の内容がクレアから披露されます。「その時、踏み切れなくてあきらめても、かつての真実は、今も真実。」・・・・ 

 ↓ さて、クレアはチャーリーにも彼女がいるとがっかりしていたのですが、それは彼のいとこで誤解でした。クライマックスはまたもやあのシーンで・・・

笑える!(^^)! 勇気づけられる、いい映画だと思います。ただ残念なことにこの映画のゲイリー・ウィニック監督は、この映画の撮影後に49歳の若さで亡くなってしまったそうなんです。他の作品も見たかったです。

(恋の)パワースポット 悩める女性 手紙 返事 ・・・ この辺りがキーワードなのですが、手紙の返事を書くのが、ボランティアという仕組みが・・・素晴らしい・・・と申しますか・・・ニセモノと申しますか・・ボランティアの皆さんゴメンナサイ🙇
なんやと~、ニセモノ呼ばわりするとは許せん!ならば本物とやらを見せてみんかい!とお怒りの皆様へ
 ↓ はい、見つけました!わが日本国で!世界遺産 高野山で

弘法大師 空海様が貴方様のお手紙を読んでくださいます。ゴゴゴゴゴ・・・(ジョジョの奇妙な冒険風)
ジュリエットはシェイクスピアによる物語での架空の人物です。
ご存じかと思いますが。弘法大師様は高野山奥の院でご存命でおられます。
どーです?これが本物と言わずして何が本物なのでございましょうか。
奥の院は撮影禁止の聖地ですので、ここでお見せできませんが、ちゃんと専用ポストもあるのです。(高野山で投函の場合)

お大師さまは今なお、高野山 奥之院で祈りをささげられています。

お大師さまは、あなたの胸のうちをお聞きくださいます。

お大師さまに あなたの悩み、苦しみ、楽しいこと、うれしいことをそっと聞いていただきましょう。

きっとお導きくださいます。


え?  返事はどーなる? いつ来る? ちゃんと弘法大師様のあの直筆なんだろーな!? えーおい、どーなんだ!・・・・えーとですね。。そこなんでございますが💦お手紙はお大師様にお読みいただくのですが・・・お返事はですね・・・・💦💦

届いた手紙は、特定僧侶が開封し、お大師さまにお届けします。
その後、手紙を読んで頂いたお大師さまに対して、感謝のお経をささげます。
また、あなたの願いが込められたお手紙は、お加持をさせて頂きます。
手紙は最終的にお焚き上げします。

以上で充分ではございませんか。お大師様のお力を得て自ら解決なさってくださいませ(^_-)-☆

無理やりオチを高野山までもっていきましたが、映画はイタリアのヴェローナの街角や、シエナを含むトスカーナ地方の風景が美しく描かれていておススメでございます。

映画で旅する世界遺産 第5回 沖縄「勝連城」2020年06月30日

15世紀半ばから約450年間、沖縄には首里城を中心とした王国がありました。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。

構成資産は沖縄県に点在する次の9資産です。

今帰仁城跡(なきじんじょうあと)

座喜味城跡(ざきみじょうあと)

勝連城跡(かつれんじょうあと) ← 映画ではこちらが舞台です

中城城跡(なかぐすくじょうあと)

首里城跡(しゅりじょうあと)

園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)

玉陵(たまうどぅん)

識名園(しきなえん)

斎場御嶽(せいふぁうたき)


映画のタイトルは「私はヒーローそれともヴィラン?よみがえれ勝連城」というなんかややこしいタイトルです。(2017年度 監督:杉山嘉一 主演:福田沙紀)
※ ヴィラン (Villain)は、英語における「悪党」や「悪者」を指す言葉。また「悪役」の事も意味します。女性形はヴィラネス。主人公が女性ですので「私はヒロイン、それともヴィラネス?」の方がいいような気も・・・?
(ストーリー紹介 すみませんネタバレになりますが)
 ↑ ある日、東京から沖縄出身の主人公、華那が帰ってきて親友美鈴にサプライズ再会します。華那は東京で小さな会社の社長でしたが、従業員ともめて故郷にやってきたのです。
 ↑ 美鈴と遊ぼうよと誘うのですが、美鈴はボランティアをしていて一人バカンス・・・つまらない
 ↑ 再度、美鈴を訪ねると、子供たちがボランティアに参加しています。その中で、一人みんなとなじめない子が居るのがほっとけなくなりますが、それがきっかけにもなって、お金にならないことはやりたくないと言ってたのですが・・・自分もボランティアに参加することに。
そのボランティアプロジェクトは、城跡にかつての勝連城を復元させようというものでした。プロジェクトが進行する中で、活動を通して参加した登場人物が抱えた問題や関係性を乗り越えるというわりとありがちな展開ですけど、それはそれで、なかなかいいのではないかと。劇中では実際のプロジェクトで撮影された映像なども使われておりますので、その点ドキュメンタリーのように楽しめる作品でもあります。

私、以前は洋画ばかりだったのですが最近、邦画よく見ます。特にいわゆる「地方創生もの」として作成された作品はその地元の風景・景観その美しさにちょっとした旅行気分を味わうことができます。そしてその場所に行ってみたいという気分にもなります。(それが映画の狙いの一つでもあるんでしょうが・・(^^)/)

世界遺産登録の目的は保護と保全ですので、なかなか映画のロケ地で使用というのも難しいとは思うのです。特に日本では・・・でもこの「勝連城跡」は屋外の遺構でロケ地としていいですね。

阿麻和利が居城した城と伝えられる勝連城跡は、沖縄の城の中で最も古く、築城は12世紀頃から始まっていたと伝えられています。現在の規模になったのは14世紀ごろのようで、阿麻和利は護佐丸を滅ぼし、さらに琉球統一をめざし国王の居城である首里城を攻めましたが、1458年に大敗して滅びたそうです。

 ↑ 負けず嫌いの華那は資材運びや、のぼり旗の制作も頑張ります。

 ↑ 作業後の飲み会で、この勝連城跡からなんと古代ローマの貨幣出土したと聞かされます。


沖縄県のうるま市教育委員会は、世界遺産「勝連城跡」の2013年度の遺構調査で、ローマ帝国のコイン4枚が出土したと発表しました。X線による画像確認などを行った結果、銅貨4枚が34世紀のローマ帝国のコインと判明。皇帝らしき人物の肖像や複数のアルファベットが確認されたということです。ローマ帝国のコインが出土するのは、国内で初めてだそう!勝連城跡にかかわる人物が、例えば南アジア島嶼地域や、西洋世界との接点を持つどこかで入手したと考えられています。

これは何と~!埼玉県秩父市や奈良県などで日本の古代通貨、富本銭や和同開珎などが発掘されたのとはまた違う歴史の面白さがありますね~(^^)/

 ↑ う~ん! 美しい空と海。プロジェクトも完了が近づきます。

しかし、ちょっとした行き違いから美鈴と華那は感情がもつれてしまい、華那は急遽、東京に帰ることに。


 ↑ 心配した仲間たちが二人のために特別なライトアップを用意します。

お互いに心情を吐露して・・・よかった。よかった。

 ↑ ボランティアプロジェクトも大成功。


私、沖縄を初めて訪問したのは40年ぐらい前になります。その時訪問したグスクは中城城跡(なかぐすくじょうあと)で、まだ世界遺産ではありませんでしたが、とても記憶に残っています。

 ↓ こちらは登録資産の今帰仁城跡(なきじんじょうあと)三山時代の北の覇者、北山王の居城です。私が訪問したのは2月ですが、咲いているのは桜です(^^)/

今帰仁城跡からは、琉球王朝発祥の地と言われる、伊是名島と伊平屋島の島影が正面に見え、晴れた日には与論島を見ることもできるそうです。起伏にそってゆるやかな曲線を描く城壁は、1500mの長さ。優美な姿で、ちょっと中国の万里の長城を思わせます。


実は他の城(グスク)もそうなのですが、基本的には遺構です。首里城も跡(すなわち遺構)が世界遺産です。

2019年に、世界遺産が2か所、火災にあう事件がありました。この沖縄の首里城とフランスはパリのノートルダム大聖堂です。首里城は正殿が跡形もなく焼け落ちました。

ートルダム大聖堂の方は屋根の尖塔が崩落しました。世界遺産の建造物が崩れ落ちる映像に、衝撃を受けました。

しかしながら首里城は石造りの基礎部分や柱穴、溝など地下の遺構部分が「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」の一つとして世界遺産に登録されており、1992年以降に復元された建物は、世界遺産の構成資産ではありません。

世界遺産に対する被害は文化庁によりますと、全焼した正殿の地下の遺構表面に2カ所の損傷を確認したが、面積は全体の0.05%とわずかなため「世界遺産の価値に与える影響は軽微」としています。

 ↑ これが世界遺産の遺構だ!

焼失した正殿や北殿などの復元建物については、再建時の資料が残っているため「復旧可能」とユネスコには報告。世界遺産の価値を分かりやすく伝える施設としてまた再建するそうです。

 ↑ 復元建造物とはいえ、見事な建物でした。。。またの再建を!


2000円札の絵柄にもなっている守礼門(懐かしい・・沖縄では今でも流通しているのだろうか?)「琉球は礼節を重んずる国」という意味だそう。中国王朝に向けてのメッセージだったとされています。火災の影響はなかったそうですがこちらも世界遺産ではありません。

 ↓ こちらは世界遺産登録資産 園比屋武御嶽石門


守礼門と歓会門の間にある石でできた門です。軒があり、まるで木造建造物に見えますが、近づいてみれば琉球石灰岩で作られていることに気づきます。国王が外出するときに安全祈願をした礼拝所で、形は門になっていますが。。。人が通る門ではなく、いわば神への「礼拝の門」!


新型コロナウイルスの影響もありました。。首里城ホームページによりますと、6月12日から正殿遺構等も公開されるそうです!


頑張れ世界遺産!

ジャズと映画 part3 坂道のアポロン2020年06月16日

映画「坂道のアポロン」を観ました。アニメもありますが実写版です。

2018年公開映画ですので、全然旬な話題ではないのですが。。だって知らなかったんですもの。だってその頃はまだ忙しかったんですもの。。。

原作は小玉ユキさんによる漫画で、「このマンガがすごい! 2009」オンナ編で1位を獲得、第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞というなかなかの作品だったのでございます。 


(以下、どうしても多少ネタバレになります。。。)

青春映画ですね。人間関係は、概ねこんな感じ。

   

 ピアノ        ドラム         ボーカル

西見 薫→  友情  ←川渕 千太郎←  幼馴染💛 迎 律子

        ↓尊敬   💛           ↑親子

桂木 淳一💛友里恵         迎 勉      

トランペット  画学生        ベース

💛関係が典型的でわかりやすくてイイですね~ 薫は律子に💛です


東京のドクター、西見薫はピアノが特技らしく病院で子供に頼まれてちょこっと弾いてみたりしています。彼の机の上には高校時代の写真とロザリオが飾られています。。↓


時代設定とロケ地も最高です!(原作者の出身地)


1966年初夏、男子高校生・西見薫は、横須賀から長崎県の佐世保市にある佐世保東高校に転校、「坂道が忌々しい・・」とつぶやきながら通学している所から物語は始まります。

薫は学校の屋上で誰もが恐れる不良、千太郎と運命的な出会いをします。

薫はクラシックピアノが好きなのでした。↓ 


転校して、クラスメートからは「東京の方から来た、ぼんぼんらしかよー・・・」と陰口をたたかれる中、クラス委員の律子が親切なので、「レコードが買えるところは?」と聞きますと、「うちの家においでよ~」と言われて「それはいくらなんでも早すぎでは~💦」と思いつつ、お家に行きます。するとお家がレコード屋さん!というおちですね。 このレコード屋さんというのがイイですね。

そーそー。この時代、町には本屋さんがあるように、レコード屋さんがあったんですよ。 

↑ 店主(ジャズベースを弾く)の好みでかなりジャズ寄りの品揃えの様子!(^^)!
はい、壁面ディスプレイご覧ください。
マイルス・デイビス  ブラックホーク 
リー・モーガン  ザ・サイドワインダー
ジミー・スミス ザ・サーモン
ジョン・コルトレーン ジャイアント・ステップス などなどが見えるでしょ~(^^)/
く~っ、たまらん!
しかもこの店主、地下室まで作ってスタジオにしてるんです。
律子に誘われて地下室に降りていくと、仙太郎がドラムをたたいています!
東京から学生運動に疲れた大学生純一も、帰ってきて突然ジャムセッションに・・・
薫も参加して、ジャズの集団即興演奏に、ちょっと楽しさを感じていきます
この地下室のレンガ造りの壁、どっかでみたような・・・
薫はお店で、クラシックを買わずに、アートブレイキーのモーニンを買い求めます(^^)/
ええ、あの恐ろしいジャケットの・・・ ↓

数日後、律子に恋心を抱いた薫は頑張って電話で、図書館へ行こうと誘います!
返事はOKだったのですが。。。   ↓ この電話機・・・10円玉・・・くーったまらん!
待ち合わせ場所の教会に行ってみると、何故か仙太郎も一緒で行先は海水浴に・・・
いや~、青春ですね~(^_-)-☆
ロケ地は白浜海水浴場で佐世保で一番大きな海水浴場だそう。水平線まで青く澄んだ海と文字どおり白い砂のビーチ。(和歌山にも同名ビーチありまーす)
↑ 海で偶然出会った年上の友里恵は実は、純一の彼女・・・
そんなこととは知らない仙太郎は、画学生友里恵に絵のモデルなど頼まれて、浮かれています。
これがアポロンだそうで・・・仙太郎はロダンの考える人と区別がつかない様子。
ロケ地は眼鏡岩、平戸藩のお殿様が愛でた「平戸八景」の1つで、高さ10m、横幅20mのびょうぶ状の岩に、巨大な穴が自然にくり抜かれて眼鏡状になった奇岩で、鬼が作ったと言う伝説がありるそうです。

ある日、街のジャズバーで、在日米軍(多分そういう設定)に絡まれます
喧嘩っ早い仙太郎が殴り合いになりそうなところ、暴力では何も解決しないと純一がトランペットの実力を見せつけると
仙太郎のドラム、薫のピアノも加わってスイングします
さらに、純一は達者な英語でジャズボーカルも披露♪ あんたチェット・ベイカーか~
これには米国人達も唖然!拍手喝采 音楽に国境なし(^^)/

薫と仙太郎は、それぞれ家族や出生、さらには失恋で悩んでいて、友情もギクシャクする中、学園祭の季節がやってきて、薫は実行委員をすることに。
仙太郎は、他の生徒達がやるロックバンドに誘われて、そこでドラムを叩くことに。  
↓ なんとなく~な演奏の仙太郎 ファッションが笑える
ところが、ロックバンド演奏中、突然停電になるというハプニング!
メイン楽器のエレキギターが使えません。
実行委員として薫が、停電修理の間を持たせるからと、アコースティックピアノを弾きます。
曲はマイ・フェイバリットシング。これは律子の大好きな曲でした。
「あ、これってサウンドオブミュージックの・・・」と会場が徐々に気づき始めると・・・仙太郎がドラムで参加します!(カッコいいシーンです)
お互いに顔を見合わせ、合図して曲はモーニンに!会場大興奮

仲直りして、やがて季節は冬。教会でのクリスマスコンサートに薫は、律子のボーカルを加えてやろうと提案します。
ところが当日、律子と仙太郎が薫のところへ向かう途中、事故にあってしまいます。

命は助かったものの、責任を感じた仙太郎はいつも肌身離さずつけていたロザリオを外して去っていったのです。

そして10年後、病院で勤務する薫のもとに純一と友里恵がやってきて一枚の写真に偶然、仙太郎が写っていたことを知らせてくれます。それは教会の結婚式の写真で、仙太郎の神父姿でした。薫は佐世保で10年ぶりに律子と再会、律子を誘って二人で仙太郎に会いに向かいます。
島の密度は日本一、常緑広葉樹の森が水面に影を落とし、波静かな浦々の九十九島です!
九十九島の一つ、黒島にある黒島教会です。世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」構成資産の教会堂は、今も祈りの場として使用されています。
江戸時代後期、平戸藩が入植を認めると外海や生月(いきつき)島の潜伏キリシタンが多く移住しました。最初に常駐したマルマン神父が、基礎に特産の黒島御影石を積み、40万個のレンガを使い、1902年に祝別したロマネスク様式の美しく荘厳な教会です。
そーか、仙太郎、こんないいとこで神父見習いをしていたのか~。教会からドラムの音が聞こえるぞーって走り出す二人。
↑ 感動の再開シーンです!
あまり言葉は要らない!すぐに演奏が始まります!マイ・フェイバリットシング。
薫が言います。あの時言えなかった・・・僕の好きなもの「それはこの時間なんだ!」
仙太郎が合図します!あの時できなかった律子のボーカル・・・さあ、今だっカモン
この映画では演奏のシーンで、お互いに顔を見合わせ、目で合図してノッていくシーンがとてもクールなんです。ジャズという音楽の特徴であるコレクティブ・インプロビゼーシヨン(集団即興演奏)が表現されています。
 ↓ エンドロールは・・・
やっぱ、レコードですよね~ いいなあ、懐かしいなあ。。。

アニメも見てみようと思ってます。全12話、各エピソードにジャズの有名曲のタイトルがふられています。。。

#1 モーニン(Moanin'

#2 サマータイム(summertime

#3 いつか王子様が(Someday My Prince Will Come          

#4 バット・ノット・フォー・ミー(But not for me           

#5 バードランドの子守唄(Lullabys of Birdland

#6 ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ(You don't know what love is            

#7 ナウズ・ザ・タイム(Now's the time

#8 ジーズ・フーリッシュ・シングス(These foolish things

#9 ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー(Love me or leave me

#10 イン・ア・センチメンタル・ムード(In A Sentimental Mood   

#11 レフト・アローン(Left Alone

#12 オール・ブルース(All Blues

放映されたのは2012年ごろとかなり以前だったんですね。。。だって知らなかったんですもの~

高野山と犬たちのお話2020年06月06日

私、ラブラドールレトリバーの黒犬を飼っていたことがあります。

名前はジョンと名付けました。

犬の名前としては、最も平凡と思わせて・・・私が好きなジャズプレイヤー John William Coltraneから名付けてます(^^)/ 色も黒ですしね~。

↑ 犬のジョン 在りし日の雄姿  ↑ ジャズプレイヤーのジョン 在りし日の雄姿

ええ、犬・猫は好きですね。猫を飼ったら、マイルスって名前つけるつもりです。(マイケルじゃないですよ。)はい、ジャズトランぺッター Miles Dewey Davis III からパクります。

でもどっちかといえば、私には犬の方がなついてくれる気がします。

 

高野山の麓、九度山町に世界遺産の登録資産にもなっている、古刹「慈尊院」(弥勒菩薩の別名)があります。


こちらのご本尊は弥勒菩薩様ですが、秘仏で何と21年に一度の御開帳です。(21年に一度桧皮屋葺替の際、ご本尊をお移しのために。弘法大師空海の命日が21日ということに因んでとの説もあり)

はい、前回の御開帳の際、拝観させていただきました~!(^^)!

この国宝仏ですが、専門家の眼に初めて触れたのは、昭和35(1960)のことだそうです。国宝に指定されるほどの見事な傑作仏像が、新たに発見されるなどということは、めったにある事ではないと思います。

明治17(1884)、国より調査依頼を受けたアーネスト・フェノロサと岡倉天心が、法隆寺夢殿厨子と救世観音菩薩像の公開を法隆寺に求め、長い交渉の末、公開されたという事件に匹敵するのではないでしょうか。(現在、救世観音菩薩は春・秋年2回御開帳)

昭和に入ってからの発見では、昭和12(1937)の興福寺(旧山田寺)仏頭の東金堂本尊台座下からの発見にも匹敵するかと。(こちらは仏頭のみ。現在は興福寺国宝館にて常時拝観可能です。)

話が仏像にいってしまいましたが、慈尊院は弘仁7(816)、弘法大師が高野山開創の時、高野山参詣の表玄関として伽藍を創建し、高野山一山の庶務を司る政所を置いて、高野山への宿所ならびに冬期避寒修行の場とされたのが始まりだそうです。また弘法大師の母君 (玉依御前 : たまよりごぜん)が香川県善通寺より、我が子空海の開いている山を一目見たいとの思いから、高齢にも関わらず慈尊院に参られ、ご本尊弥勒菩薩を篤く尊崇せられたそうですが、母君が亡くなられた際に弘法大師は、廟堂の建立と弥勒仏を自作して、母君の霊を安置されたと伝わります。

 

そんな慈尊院に昭和60年代に、紀州犬と柴犬の雑種が住み着きました。慈尊院から聞こえる鐘の音を好んでいたため、つけられた名前は「ゴン」(^^)/

↑ 【新装版】高野山の案内犬ゴン ハート出版


何とこのゴン、最初の頃は九度山駅と慈尊院の間を参拝者を案内するのですが、そのうちに高野山町石道の約20kmの道のりを朝、慈尊院を発って、夕方に高野山上の大門まで道案内し、(慈尊院からスタートして大門まで8時間ほどかかります!)夜には慈尊院に戻るという毎日を送るようになったのです!

 ↑ 町石道の起点です    右写真は丹生官省符神社から慈尊院方向を撮影
慈尊院から境内を抜けて階段を上がりますと、弘法大師によって創建された丹生官省符神社です。
 

1200年前、弘法大師空海が高野山を開くに際して、狩場明神とおっしゃる神様と出会ったとき、猟師の姿をして2匹の黒犬を連れていたそうな。

 ↓ こんな感じ

ゴンは2002655日は弥勒縁、弘法大師母君命日!)息を引き取りました。

「弘法大師の案内犬の再来・生まれ変わり」「お大師さんの犬」などと参詣者から親しまれ、愛されてきたゴンを惜しみ、慈尊院境内の弘法大師像の横に「高野山案内犬ゴンの碑」が建てられています。

 ↑ なかなかカワイイ


(後日談)2000年6月5日(初代の命日)からゴールデンレトリバーの雑種で2代目ゴンが飼われているそうです。ただ2代目は参拝客をどこにも案内はしないそうでございます(‘ω’)

※ 地元の方からすでに2代目もお亡くなりになったと聞きました。

3代目は今のところ居ないようです。。。

 

高野山中腹の神社、丹生都比売神社にもご神犬「すずひめ号」「大輝号」が居られます。

行事の際にのみご登場とのことで、私はまだお会いできておりません。。。


熊野古道 大辺路 安居の渡し2020年05月29日

紀伊山地の霊場と参詣道は、和歌山県・奈良県・三重県にまたがる3つの霊場(吉野・大峰、熊野三山、高野山)と参詣道(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野参詣道)が世界遺産に登録されています。

前に映画のカテゴリーで書き込みました「道」の先例である「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の最終地であるスペインのガリシア州と、熊野古道の最終地である和歌山県とは、古道の最終地としての永続的な友好関係を確立するために、両古道の「姉妹道」提携を締結しています(^^)/

私、実は「和歌山県世界遺産マスター」なる資格を頂戴いたしまして、世界遺産保全啓発活動などをしております。何しろ広大な世界遺産ですので、「高野地区」と「熊野地区」に分かれてまして私、「高野地区」担当なんですが、もちろん熊野古道の方も大好きです。


熊野古道とは、主に次の6つの道を指します。

紀伊路(渡辺津 ~ 田辺) ※世界遺産登録に含まれていない

小辺路(高野山 ~ 熊野三山、約70km

中辺路(田辺 ~ 熊野三山)

大辺路(田辺 ~ 串本 ~ 熊野三山、約120km

伊勢路(伊勢神宮 ~ 熊野三山、約160km

大峯奥駈道 (吉野 ~ 熊野三山)


皆さん、熊野古道って紀伊山地の山の中、ひたすら歩く道って思ってますよね。まあそうなんですけど・・・大辺路に日置川を渡る渡し舟区間があります。仏坂の入り口です。

大辺路街道で唯一、川を舟で渡る「安居の渡し」があります

昔ながらの川舟で日置川の清流を渡ることができるんですよー♪

和歌山県南紀の河川って綺麗ですが、この日置川も美しい河川です。
渡し舟は対岸までのわずかな区間ですが。。。水の透明度に驚きます。
船が浮かんでいるようなインスタ映え写真も狙えます!(^^)!

安全確保のため船頭さんは2名体制です。


渡し場跡からは仏坂の登りを一気に登ります。ここから、すさみ町の入谷までの間は、自然林に囲まれた尾根道、石畳道が続いて南紀の美しい自然と、歴史を感じることができます。


以前、和歌山市の旅行代理店で勤務していた時、和歌山大学のインターンシップ生を指導して、

国土交通省主催の「水の里の旅コンテスト」に応募するため、現地を視察しました。

 

↑ 乗船券です。もちろん記念にお持ち帰りです。


今回の写真はその時のものです。

コンテスト結果は、学生部門で受賞致しました(^^)/

百間山渓谷のウオーキングも含めた、いいツアーですよ。

国土交通省のホームページから見てあげてくださいませ。

http://mizunosato-ouen.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/b9f1275a43a84ad2351549f96c10f315.pdf

映画で旅する世界遺産 第3回 サン・ジャックへの道2020年05月17日

サンジャックへの道

原題       Saint-Jacques... La Mecque 製作年 2005年 製作国  フランス


 

今回の世界遺産は「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路:カミノ・フランセスとスペイン北部の道」(フランスとスペインにまたがる)です。

いわゆる聖地に向かう巡礼の道が世界遺産に登録されているのは、ほかに日本の「紀伊山地の霊場と参詣道」(和歌山県・奈良県・三重県にまたがる)があります。

スペイン語では、El Camino de Santiago(サンティアゴの道)と呼ばれ、また、定冠詞を付けた大文字で始まるEl Camino(その道)はサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路を表します。フランス語ではle chemin de Saint Jacques(サン・ジャックの道)と呼ばれています。

サンティアゴ・デ・コンポステーラには、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地に数えられています。聖ヤコブはキリスト12使徒のひとりで、英語でセント・ジェームス、フランス語でサン・ジャック、スペイン語でサンティアゴ。

聖ヤコブは、キリストの死後、スペインで布教していましたが、エルサレムで最初の殉教者となり、その後、星の導きによりサンティアゴ・デ・コンポステーラに埋葬されたのだそうです。


めちゃくちゃ仲の悪い3兄弟ピエール、クララ、クロードの母親が亡くなりなり、遺言で遺産相続の条件としてこの3人が一緒に、フランスのル・ピュイから、ピレネー山脈を越え聖地サンティアゴまで、1500キロメートルを歩くことになります。(今回、ついストーリー追っかけてます。ちょいネタばらし入ります。)

 ↑ 兄弟仲のめちゃ悪い3人が弁護士から説明を受けます ↓ 嫌がりながらも3人とも参加することに
 

ツアーの同行者にアラブ系少年やなんかワケありそうな女性など9人。さまざまな思いを胸に長い旅に出る。いわゆるロードムービーです(^^)/  ↓ とにかくツアーは開始されました。


最初はなかなか大変です( ;∀;)

友達サイードに騙されて(なんとメッカに行くといわれて)参加した男の子ラムジーは、読字障がいを持っていました。(サイードは好きな女の子が参加してるから行くだけ・・・)
 ↓ 旅の途中から3兄弟の一人、学校教員のクララがラムジーに文字を教えていきます。
  ↓ ラムジーは旅の中で少しずつ文字を覚えていくのです。。。
  ↑ ちょっといいシーンです。
 ↑ 旅の御朱印?も順調にたまっていきます(^^)/
 ↓ Saint-Jean-Pied-de-Port(フランス) ノートルダム門・橋・シタデル通り
ル・ピュイからちょうど半分の行程を歩いてきて、明日にはスペイン入りというこの町で、3兄弟はガイドのギイから、実は相続の条件である巡礼はここまででいいんですよー。と聞かされます。
これで帰れる!よかった~と、3人は、橋の上で巡礼仲間と別れの挨拶をして、ノートルダム門をくぐってシタデル通りの方向に戻り始めます。
 ↓ ところが、長男が急に気が変わった。。最後まで歩きたいと言い出すのです。
結局3人ともツアーに戻って歩き続けます。巡礼を続けるうちに何かが変わり始めている。。。
 
 ↓ ピレネー山脈 Les Pyrenees/Los Pirineos(フランス側 )十字架のある地点
サンジャンからロンセスバイエスまでのピレネー山脈を超える行程で、印象的な場所の一つです。ピレネー山脈は十字架のある地点をすぎると、高度を増していきます。
 
 ↑ ようやくロンセスバイエスの宿についた一行に対して、神父さんから人種差別的発言を受けます。
 ↓ それに対して猛烈に抗議するのは何とピエール!兄弟は切り離すべきじゃない!という発言に「えー!?お前が言うなよ~」という驚きの妹クララ。。。いいシーンです。
 ↓ 意識せずに、さらっといやみを述べるラムジー いいぞ~
 ↑ 別の宿泊所へ向かいます。
 モンテ・ド・ゴゾ/Monte de Gozo、歓喜の丘(ヨハネパウロ2世訪問記念モニュメント) ↓
いよいよ旅も終着が見えてきました。ただ、ここで少年ラムジーの母親が亡くなったという知らせを友人サイードが携帯電話して聞いてしまいます。。。


↓ 歓喜の丘から少し進んだところにあるアルベルゲで一泊してついに到着!

ここがサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂です。

大聖堂内部です。

大聖堂に存在する巨大振り香炉「ボタフメイロ」。この香炉は焚いた香を入れた後、聖堂内を振り子のように振る儀式に使われています。ここはやはり動画で見ていただきたいシーンですね。

「ボタフメイロ」とはガリシア語で「煙を吐き出すもの」を意味しているそうです。


 ↑ ラムジーは文字がかなりのレベルで読めるように。

このシーンはフィニステレ岬へ向かうバスの中です。


海岸で、サイードがラムジーに母親が亡くなったことを告げます。。。。(:_;)


そしてそれぞれ、お家へ帰るのですが、ラストにいいエピソードが待ってますのでお楽しみに。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩くロードムービーはもう一本ありまして・・・

「星の旅人たち」この映画もお勧めです。またいつかご紹介できればと思います~

映画で旅する世界遺産 第2回 落下の王国 The Fall2020年05月16日

第1回はイタリアのヴェネチアの街を取り上げましたが、今回ご紹介するのは世界遺産てんこ盛りです!!


世界遺産を舞台にした映画、個人的にはこれが決定版だと思っています(^^)/

落下の王国 原題「The Fall

インド・イギリス・アメリカの共同制作で日本公開は2008年度


ターセム監督(インド出身)が、構想26年、4年の歳月を費やして、世界遺産を中心に世界24ヵ国以上でロケを敢行。CGで作り上げる映画とは一味違います!

この映画はインドの世界遺産と歴史建造物を中心に(世界遺産に登録されていないロケ地もすごいです)観る者に自宅に居ながらの世界遺産観光を楽しませてくれますので是非、場面を見ながら「あ、ピラミッド~!」とか世界遺産を見つけてください。

世界遺産ロケも素晴らしいのですが、劇中登場人物たちの衣装も凄いです。デザインしたのは、日本人アートディレクター石岡瑛子さん。この華麗な衣装と幾何学的な建物や、世界遺産遺跡や自然との映像コラボレーションが圧倒的です。そして映像も凄いのですがストーリーも悪くありません。

 

ストーリーは、映画撮影中の落下事故で下半身不随となったスタントマン、ロイ。恋人である共演女優を主役の男性に獲られ、やけぎみなロイが、同じ病院でオレンジの木から落下して、腕の骨折で入院中の少女、アレクサンドリアに思いつきの愛と冒険ファンタジーをお話ししてあげます。

アレクサンドリアはロイの語る愛と復讐のファンタジーにすっかり引き込まれていきますが、彼の本当の狙いはアレクサンドリアにあることをさせることでした。。。。


 インドの世界遺産 

タージマハル廟 (画像上)はムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設した総大理石の墓廟です。超有名世界遺産の一つ。


ファテーブルシークリー 宮廷地区の一ヵ所 パーンチ・マハル(画像下)は五層の建築物。壁がない建築物のため、遊戯、納涼、展望のための施設だったと考えられています。


インドロケでは他に アーグラ城塞(世界遺産)・アクバル廟・ジャイプールのウメイドバワンパレス・ウダイプール水中宮殿ホテル・ジョードブルのメヘラーンガル砦と青の街

アーバーネリー階段井戸 ↓ などですがこの幾何学的な階段井戸、すごくないですか??

ジャイプールから車で約1.5時間のアーバーネリー村に位置します。

9世紀頃に作られた月(チャンド)の井戸(バオリ)と名づけられた階段井戸で深さは約30m、13層の規則正しい長方形の幾何学的なデザインが見事です。

インドの世界遺産以外のロケ地ですが、これもまた世界遺産でないのが不思議なくらいの建造物ばかりですね~。


↑ こちらはトルコです。アヤソフィア寺院(世界遺産 イスタンブール歴史地区の一部として)

上の画像はユネスコ世界無形遺産にも登録されています、セマーの儀式ですね。ミステリアスな旋回の舞いが映画ではうまく表現されています。


↑ 上の画像はエジプト メンフィスのピラミッド(世界遺産 「メンフィスとその墓地遺跡 - ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯の一部として)です。

下の画像はナミビアの世界自然遺産 ナミブ砂漠です。


他にも世界遺産を中心に実に壮大なロケ地ばかりです。下記に私が映画を見て気づいた場所あげておきます。

(中国)万里の長城(世界遺産) 桂林(世界遺産 中国南部カルストに追加として)

(イタリア)ローマ歴史地区 (世界遺産 ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂の一部)

(チェコ)プラハ歴史地区 (世界遺産)

(カンボジア)アンコールワット遺跡群 (世界遺産 アンコール遺跡群の一部)

(フランス)パリのセーヌ河畔 (世界遺産)

(アメリカ)自由の女神 (世界遺産)

(フィジー諸島)バタフライ礁
(インドネシア)バリ島 他にドイツやスペインの風景も・・・


映画の後半ではお話を聞くだけの少女が、ロイのストーリーを変えていく形で出演してきます。
このあたり挫折と再生の物語として面白いので、すばらしい映像と共に是非ご覧下さいませ!

私、以前専門学校で「世界遺産入門」という講座担当していたんですが、この映画取り上げれば良かったなあ。。。(*'ω'*)

映画で旅する世界遺産 第1回 ツーリスト2020年05月04日

私、長らく旅行会社で働いた後、専門学校で観光ビジネスの講師を務めておりました。研究テーマは「世界遺産」です。今、観光産業も大きなダメージをを受けている新型コロナウイルスで、皆さんもステイホームされているのではないかと思います。せめて自宅で映画でも観て「世界遺産」をはじめとする世界の絶景や、歴史・文化を訪ねてみませんか~?
映画の舞台、ロケ地で世界遺産が使われているものをピックアップしますが、ストーリー紹介は最低限度に抑えます(^^)/

第1回はイタリア 、世界文化遺産「ヴェネチアとその潟」を舞台に繰り広げられるミステリー映画「ツーリスト」です。主演はジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリー
世界遺産には10項目の登録基準があります。世界文化遺産にはそのうち6項目が適用されるのですが、現在約1,000件以上ある世界遺産の中で6項目全てを満たしているものは、ヴェネツィアの他、中国の「敦煌の莫高窟」と「泰山」の3件です。素晴らしい!

映画のストーリーですが、警察にマークされる美女(アンジェリーナ・ジョリー)がパリ・リヨン駅からベネチア行きの列車に乗り込みます。
謎の美女は失踪中の彼氏アレクサンダー・ピアースから、列車の中で自分に体格が似た男に声をけるようにと、謎のメーッセージを受け取ります。
彼女が声をかけたのはアメリカ人ツーリスト、フランク(ジョニー・デップ)でした。
そしてヴェネチアのサンタルチア駅に到着。
ヴェネチアでは車は街の入口にあるローマ広場までしか入れません。街中の移動手段は運河を運行する水上バス(ヴァポレット)、水上タクシー、ゴンドラ等の船利用となりますが、映画でも多く登場します。
いったん列車で美女と別れたフランクですが、地図を片手に迷っていると再び彼女が登場!
「ご一緒にどう?」ってフランクにとってなかなかうれしい展開に。。
で、二人がチェックインするホテルがこちらのホテルダニエリです。
ヴェネチア共和国時代のダンドロ総督の邸宅だった、ヴェニスを代表するクラシックホテルの一つです。
19世紀に建物が改装され、ホテルとしての歴史はそこから始まっています。
観光地としても有名なサン・マルコ広場も徒歩数分ですが、今(2020年4月)、新型コロナウイルスによる影響で全くの無人に近い状況が寂しい限りです。
フランクは失踪中の彼氏、アレクサンダー・ピアースが整形している男と疑われ、ギャングに追い詰めらて行くのです。ホテルを脱出して屋根伝に必死に逃亡していきます。このときヴェネチアの街並みがよくわかります。
ヴェネチアの街の中心は大運河(カナル・グランデ)ですが、ボートに乗って逃げるアクションシーンでは、細い水路にも突入して、見せ場を作ります。この街がまさに水の都であることがよくわかります。
ほぼ全編ヴェネチア・ロケのこの作品を見れば、ヴェネチアの街の魅力がとても伝わってきますのでお勧めです。
うまくロケされていて、見ていて違和感がないのですが、もちろん現実にはちょっと違う点はいっぱいあります(その場所から、そこへの距離がかなり違うとか)。
そのあたりは是非、いつか現地を訪問してご確認するのも楽しいかと思います。
この映画のオチ(どんでん返し)大好きです! 是非ご覧くださいませ。