映画で旅する世界遺産 第7回 中国 麗江古城2020年07月14日

映画のタイトルは「単騎、千里を走る」     (ネタバレです)

題名は『三国志演義』の関羽が一時仕えていた曹操のもとを出奔して旧主劉備にもとへ帰った故事小説『千里走単騎』からだそうで、映画では中国最古の仮面劇と言われている「儺戯(ノウシイ)」で演じられています。

監督は中国映画の巨匠、北京オリンピック開幕式の総指揮である張芸謀(チャン・イーモウ)日本部分の監督を降旗康男、そして主演が・・・はい、高倉健さんです(^^)/
高倉健は、映画のタイトルの如く、単身撮影に参加。約2ヶ月間に渡る撮影をこなしたそうですが、お相手となる中国人キャストは、張芸謀監督独特のキャスティング(ほぼ全てのキャストは地元の人々から選ばれた“素人”)によって決まっています。でもいわれなけらばわからない・・・

高倉健主演の「君よ憤怒の河を渡れ」は中国で累計8億人の観客を動員して空前の大ヒットとなったと聞いたことがあります。亡くなった時も中国側からの追悼が凄かったですよね。

 ↓ 北国で漁師をしている高田(高倉健)には、東京で民俗学を研究している息子・健一(中井貴一)が居ます。しかし、長年の確執があり疎遠になっていました。健一の妻・理恵(寺島しのぶ)から健一が病で倒れたと聞き、見舞いに行きます。

 ↑ しかし、見舞った高田に対して健一は会おうとしませんでした。
息子の命がもう長くないことを知り、やり切れぬ想いを抱く高田に理恵は、高田の心情を汲み、研究家としての健一の仕事ぶりを紹介したテレビ番組のビデオテープを渡します。 

 ↑ ビデオには、健一が中国の奥地・李村の民俗舞踊を紹介する様子が映し出されていました。そして健一が舞踊家・李加民(リー・ジャーミン)に語りかけるシーンが目が留まります。「来年、李さんの"千里走単騎"を撮りに来ます。」・・・
病の身となっては、果たされぬ約束です。高田は、いま自分に出来ること、それは、息子健一の約束を自分が代わりに果たすことだと考えます.。高田は、理恵にも内緒で独り、中国に行くことを決意します。
 ↓ 数日後、高田は単身、昆明空港から、ミャンマーの国境近くの中国・麗江市にやってきます。高田の手がかりは、李村に住む李加民という名前のみ。

 ↑ 屋根瓦が美しい そして背後の玉龍雪山は山国家重点風景名勝区。
ロープウェイやリフト、野外劇場なども整備されています。氷河公園までのロープウェイは、下部駅の標高3356mから氷河公園駅の標高 4,506mまで、標高差 1,150m、全長 2,968mのロープウェイが通じていて、ロープウェイで到達できる標高としては、ベネズエラに位置するメリダ山脈のロープウェイの 4,765mに次いで、世界2番目の高標高地点だそうです。おお~!
ミャンマーとの国境にあたる、中国雲南省・麗江は、古くから雲南とチベットを結ぶ交易路の拠点として栄え、旧市街地は“麗江古城”とも呼ばれ、芸術的な素朴さに満ち溢れた町並みは、世界文化遺産に登録されています。旧市街の建築物はほとんどは1~3階建ての木造瓦葺きであり、4000戸ほどの住居が密集しています。 

仏教や道教の仏像もあり、少数民族によって書かれた麗江壁画が残っていますが、この麗江の最大の特徴は、8世紀、現在の青海省付近から南下してきたと言われている少数民族ナシ族の「トンパ文字」かと思います。映画では残念ながら紹介されませんでした。。。

トンパ文字は現在、世界で唯一の「生きた象形文字」とされ2003年、ユネスコの世界記録遺産に登録されました。

ネット上で日本語 → トンパ文字変換サイトがありまして(^^♪

 自分の名前を変換した結果がコレ ↓ いかがですか?カワイイでしょ

 

 ↓ 通訳ガイドを雇います。そりゃ~そうでしょうね。

 ↓ ようやく村での撮影にこぎつけたのですが、李加民がいません!
 彼は事件を起こして刑務所に服役中だったのです。
 ↓ しかし高田は諦めません!中国の刑務所に面会と撮影許可を求めます。
 ↑ なかなか難しい!当たり前か・・・  ↓ それでも諦めません・・・
 ガイドの通訳能力が低いので、自らビデオに収まり、必死に訴えるのです!
 ↓ ついに責任者の心を動かします!
 ↑ これが中国の刑務所だ~!やってきました。
 ↓ ところが、李加民は泣き崩れてどうしても演技ができない・・・理由は残してきた子供に会いたいって・・・・ヲイヲイ。
 ↓ 諦めない親父 高田は今度は李加民の子供を連れにさらに奥地へと車を走らせます!
まるで、日光のいろは坂ではありませんか~!(^^)!
 ↑ やってきたのは「石鼓鎮」。
 ↓ 村では長老達が会議をします。そして加民の子供、楊楊(ヤンヤン)を連れ出していいよと許可をもらえるのです。
 ↓ そして日本からの客人に村人総出のこの歓待ぶり!いいシーンです。
 ↓ 子供と一緒に村を出発します。ここは「元謀土林」まるで、アメリカの世界遺産グランドキャニオンのよう。
こんなところで車のエンジントラブルが。そして事件は起こります。ヤンヤンが居なくなったのです。村からは捜索隊が。高田は残って捜索。ようやくヤンヤンを見つけました。 
 ↑ また立ち去ろうとするヤンヤン、慌てて追いかけると・・・実は💩でした・・・
 ↓ この映画で一番好きなシーンかも。。😁
多分、高田はヤンヤンと自分の息子、健一の幼い頃とを重ねています。。。
 ↑ 居なくなった理由。逃げ出した理由は、ヤンヤンにはまだ父親と会う心の準備ができていないのでした。そのことを知った高田は連れていくことを諦めます。
ヤンヤンと別れて去っていくシーンです。。。ありがちな映像ですが涙なしには見られません。
 ↓ 戻りの道中、理恵から健一が亡くなったことを知らされます。
そして健一は理恵から、父親が自分のために、自分の代わりに中国に行っていることを知らされて、死ぬ間際に手紙を書いていました。理恵はその内容を電話で伝えます。。。
背中で男の悲哀を表現できる役者・・・高倉健さん
 ↓ 再び刑務所に戻った高田は、撮影はもう結構です。その代わりに加民の子供の写真を見せたいと申し出ます。
 ↓ 💩 してるシーンも見せます・・・('ω')
感動した加民は、撮影を固辞する高田にそれでも、お礼にそして健一さんのためにも演武を見ていってほしいと言って踊るのでした。


私、専門学校の教員時代、「世界遺産」の授業でたまにこういった映画を学生たちに見せました。
一番人気が前回の「ジュリエットからの手紙」で、この「単騎、千里を走る」はあまり人気なかったんです~。まあ学生は20代の女性がほとんどで主演、高倉健とかいわれてもっ・・・てところはあるかもですが。
この映画、高倉健の晩年の作品として、そして中国の奥地の少数民族の美しい村と風景が個人的には大好きな作品ではあります。

麗江古城は世界遺産登録されてから観光客が激増、かなり様変わりしているといううわさも・・・

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