手塚漫画と明日香村 謎の石造物2020年05月18日

日本で、いや世界で最も偉大な漫画家であると信じる手塚治虫先生。膨大な作品の中で私が思う代表作は何といっても「火の鳥」です。特に過去と未来を交錯させながら展開する、実質的最終話「太陽篇」が好きです。

過去の部分では、西暦663年、白村江の戦いで倭・百済軍が唐・新羅連合軍に惨敗しするところからお話は始まります。百済王一族の兵士・ハリマは、唐軍に捕らえられ、生きながらに顔の皮をはがれ、狼の皮を被せられてしまいます。狼の顔を持ったハリマは、不思議な老婆に助けられ、老婆、そして瀕死のところを助けた大将軍、阿倍比羅夫と共に倭国へやってきます。物語の舞台は当然、飛鳥の都になります。

日本古来の産土神(漫画では狗族という狐っぽい一族)と仏教の四天王が、実際に戦ったり、当時の仏教が日本に浸透し、天智天やら大海人皇子も登場して、仏教が災いになるだの、いや仏教に帰依するだのといった混乱が描かれています。



↓ 斑鳩、法隆寺の火災事件も描かれています。


手塚漫画は他の作品もすべて傑作ぞろいですが、「三つ目が通る」でも飛鳥を舞台にしたお話があります。飛鳥には誰が、何のために作ったのかよくわからん~??石造物が約20体ほどあるそうです。
その中の酒船石 ↓を扱っています。このお話は多分、松本清張さんのミステリー小説「火の道」にヒントを得ています。そうですねー。私も数ある石造物のうち、これが一番ミステリーを感じて好きです。


酒船石の場所は 亀形石造物 小判形石造物と祭祀場 ↓の横を少し登っていく丘陵の上、竹林の中ですが、発掘調査でこの丘陵は自然のままではなく、版築と砂岩の切石で改造した人工的な丘陵ということがわかっています。

他の石造物もミステリアスで、「誰が、何のために?」と想像力を働かしながら見て回るのは楽しいです。


飛鳥資料館に展示されている石人像  ↑

岩に座った男性に女性が後ろから手をそえているのでしょうか。男性の足元から口まで内部に細い管が通り、途中で女性の口にも分岐しているのだそうで、噴水施設であったと推測されています。

ブラタモリでなんか実験やってましたね。。石人像の風貌から男女のモデルをペルシャ・インドに求める説もあります。うーむ、この時代に遠路はるばる。。。聖徳太子ペルシャ人説、ゾロアスター教説なんかも興味あります('ω') 


猿石 ↑ は4体が吉備姫王墓内にあります。
実に奇妙な人面石像で、猿ではなく渡来人を象ったものといわれています。
4体の像にはその外見から「女」・「山王権現」・「僧(法師)」・「男」とそれぞれに愛称がつけられてます。
高取城への登山道の途中にも猿石と呼ばれる石像が1体だけ置かれている(もとは同じ場所にあったものを移した?)そうなのですが、そこはまだ行ったことがございません。

鬼の雪隠 ↑ 鬼の俎ってのもすぐ横にあります。でかいです!多分、古墳用の石なのでしょうが。。。
他にも亀石・二面石(橘寺境内)・益田岩船などなど。。。どれもステキです💛

前に推古天皇の宮や陵墓について書きましたが、一代おいて即位した女性天皇、皇極天皇、重祚(一度退位して復活~)した斉明天皇は土木工事を多く実施。これらの石造物は、ほとんどが彼女に関係するといわれています。その中で酒船石遺跡が石造物の謎をとく、もっとも重要な遺構なのではないでしょうか。。。

ちなみにこの飛鳥時代、「日本国創成のとき―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―」というテーマで日本遺産に登録されています。
「女性が国づくりの原動力
日本で初めての女帝であった推古天皇は、巫女(シャーマン)的要素を備えつつも、仏教の興隆に力を注いだ。従来どおり神々が宿る自然を厚く敬いながらも、新しい仏教を取り込み、いわば神仏が調和した国づくりをはじめた。そして、東アジア世界と正面から向き合った女性でもある。このような女性の力は、次の女帝・皇極(斉明)天皇にも受け継がれている。(後略)」(日本遺産ポータルサイトから引用)

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